宇宙人というバンドについて(その1)
みなさーん!こんにちは!!!
たいへんごぶさたしておりました。気分で久々にブログを書きます。ノートパソコンのキーボードが壊れました!こんちくしょう!(外付キーボードにて執筆中)
ところで、皆さんは「宇宙人」ってご存知ですか?
…いえ、地球外生命体ではなく、バンドの方の。
……いえいえ、バンドって言っても台湾のバンドじゃなくて、高知の。
………知らない。知らなくったって当然。なんせもう解散しているんですもの。
そんなヒジョーに検索しにくそうなバンドについて今日は書いていきたいと思います。
宇宙人は高知県出身、4人組のアヴァンポップバンドです。アヴァンポップがなんなのかはぼくもわかりません。各自調べるように。
メンバー編成はしのさきあさこ(Vo)、こまつけんた(G)、にいやひでひろ(B)、わだまこと(Dr)という特に変哲もない感じ。ぜんいんひらがなだとほんわかしてるね。
2008年に結成され、2012年にメジャーデビュー。3枚のシングルと3枚のアルバム、1枚のベストアルバムをリリースして2014年の年末をもって解散しました。
ぼくはこの解散の知らせ(兼ベストアルバムのリリース告知)を図書館に行く市電(札幌市の中央図書館は郊外の市電沿線にある)の中で見たんですが、結構驚きましたね。
なぜかというと、
①アニメ専門レーベルのスターチャイルドに(なぜか)所属し、タイアップ曲も結構評判だった
②ボーカル・しのさきあさこの個人ホームページができていた
③ライブが極端に少なかったものの、徐々にキャンペーンなどで顔出し(初期は顔出しすらしていなかった)も行うようになり、まさにこれからと思っていた
という、この3点にあります。ホントに当時は不思議でした。
メンバーの現在は置いておくとして、まずは時系列でバンドを振り返ってみます。まずはメジャーデビュー直前の全国流通盤のリリースまで。
(情報はほぼネットにあるインタビューやライブレポ等からです。すべてのインタビューはボーカル・しのさきさんによるもの。めんどいからいちいち引用とかつけないけど。)
2008年~2009年
・高知県にて結成。
・いつの間にかメンバーが集まっていた。(最初の2年は地元のおいしい店の食べ歩きをしていたそう)
・本当はバンド名を「 」(スペースキー3つ分の空白)にしたかった。
しょっぱなから謎が多いですね…食べ歩きって…バンド名読めないって…
そして、メンバーが「いつの間にか」集まっていた、っていうのにはちょいと疑問が。
実はボーカルのしのさきさん、宇宙人の結成以前の高校時代に「まゆげ」というスリーピースバンドを組んでいたんですね。
いま手元に音源や資料がないので詳しいことはよくわかりませんが(余裕があれば後日追記します)、しのさき(G.Vo)女子(B)男子(Dr)で構成された高校生バンドみたいです。2001~2年ごろ結成、県内を中心に活動し、2004年にアルバム「超音パニック♪」(23曲入り!)をリリースし、その直後に解散してしまったようです。
この「超音パニック♪」、なんだかジャンクな良さがあります。演奏はあんま上手くないけど、単純なメロディーが頭に残るんですよね…あとは曲中で戦隊ヒーローみたいな寸劇を始めるとか…とにかく元気ではあるんだけど、なんだかシュールな迷盤です。廃盤だけど試聴はできるので「超音パニック まゆげ 試聴」で探してみんさい。あと、デザインがひどいブックレットには、なぜかスペシャルサンクスにマキシマムザホルモンの名前が!謎だ!興味が出たら買ってみんさい。安いから。
なので、しのさきさんがまたバンドやりたくなってゆる―く集まったのが宇宙人になったのではないのでしょうか?予測だけど。
2010年
・フジロックの「ROOKIE A GO-GO」ステージに出場。(しのさき:「応募したら出れた」)
ROOKIE A GO-GOは応募したからってそうそう出れるものではない!すっげえなおい!
その時のプロフィールページの文言は「フランス帰りのギターとイギリス帰りのベース、アフリカ帰りのドラムに日本生まれのボーカルが、ニューヨークで出会い結成。」っていうもの。高知どこ行った。
2011年
・7月、Perfect Musicからデビューシングル「アメーバダンス/あこがれのネクタイ」をリリース。地元でのライブ活動、デモ音源の配布・販売等が一切ない中でのリリースとなった。
・8月、GYUNNE CASETTEより1stアルバム「お部屋でミステリーサークル」をリリース。
・10月、POLYSICSと2マン。レコ発ライブ(@大阪)。透明雑誌と2マン。
2011年はこんな感じ。Perfect Musicといえば神聖かまってちゃんですよねー(個人的には)。最近ではアイドルなんかも結構多くやってますね。そっからミドリとかあふりらんぽのアルバムを出したGYUNNE CASETTEでリリースって珍しいっすね。ギューンのオーナーの須原さんが大阪でのライブを偶然見てレーベルに誘う(おそらくこのライブで対バンだったのかな?→11月21日(日)@梅田HARDRAIN 『夏のあくび企画 その19』 - 『夏のあくび』日誌)→同時期にROOKIE A GO-GOに出演って流れみたいですね。この頃はギリギリアー写があったみたいですが、デビューのタイミングからは抽象的なイラストに切り替わってしまいます。匿名性を出してきやがった。理論方式だ!
そして、「地元でのライブ活動、デモ音源の配布・販売等が一切ない中でのリリース」っていうのには疑念が。前者に関してははっきりとした否定材料がないのですが(なんとなく地元でのライブスケジュールが書かれたページを見た記憶がある)、そして後者には完全なる否定材料が。なんと、デモ音源がYouTubeに上がっている!!!
いやあ、ぼくもこの音源のジャケを見たことがあったし、高知市内のレコード屋か何かで一時期売っていたらしいって情報もネットにはあったんですよ~(ページ失念)。だからこの動画見つけた時には正直驚きましたね。ありがとう、高知のインディーバンドをの音源を上げ続ける誰か!
ちなみにこのデモの収録曲は、1.あこがれのネクタイ 2.生活ガイド 3.キンバリー先生と朝食 4.フリーマン先生と夕食 5.動物1 6.サイとんで、サイレン、ナイ 7.こうもりとワルツをおどりましょう♪ 8.短縮1となっております。ちなみに5・7・8曲目以外はのちに再録されます。タダで聴けるから聴いてみてちょ。(音質はそんなによくない)
じゃあ、まずは「アメーバダンス/あこがれのネクタイ」について触れていきましょう。ちなみにサブスクでは一切聴けません。配信サイトからダウンロードするか、音源を買ってください。
収録曲は全4曲。
1.アメーバダンス⇒ベースイントロの裏でディレイがぎゅんぎゅん言ってるのが◎。歌詞はどこまでも無意味&シュール。途中に「ザーク ドッホ ヴァス ヴェア ヴァイス」ってスキャット(?)みたいのがあるんだけど、しのさきさん曰く「ドイツ語の文章(意味は分からない)」らしい。なんじゃそりゃ!
2.あこがれのネクタイ⇒これはデモにも収録。デモではベース主体って感じだったのですが、このバージョンではなんだかボサノヴァっぽい。地味にドラムがいい仕事している。こちらの歌詞も言葉遊び中心。
3.脳がかゆい⇒曲名からして一気にキテレツな感じがしてきた。こっちもイントロからディレイノイズがぎゅんぎゅんと。いいねー。ちなみにギターのこまつ氏はこのぎゅんぎゅん音を出すためだけにエフェクターを購入したのだとか。最高だねー。歌詞も「テレポート」「受信」「トポロジー」「テレパシー」とか、バンド名に合ってる内容である。しかし「脳がかゆい」はパワーワードだなー。
4.へヴィ~メタルバイオレンス♡⇒曲名からして「どうした!!!!!」って言っちゃいたくなっちゃうよね。で、演奏もこれまたすごい。今までしなやかに、時には変態的に演奏していた楽器隊の演奏がやたら歪んでいる上に、ぐっしゃぐしゃなのだ。これは利き腕じゃない方の腕で楽器を演奏してみた(ドラムは左右逆のセット)そうで、しのさき氏曰く「偽・初期衝動を表現したかったから、中学生っぽい感じでやりました。」とのこと。それはまあいいとして、そこに乗っかってくる歌詞が「ちょびひげのさむらいがウインクをした」「さむらいが日サロからでてきたりもした」「ヘヴィ~メタル おにいさん おねえさん おじょうさん」ともはやシュールの極み。最後に突然「わに!!!わに!!!」とシャウトする頃にはわたしの脳は宇宙人に持っていかれてしまったのでした。なんぞこれ。なんぞ。
あと、あこがれのネクタイにはシュールなMVもあります。展開がほとんどねえ…
そんな衝撃的な1stシングルから間髪置かずに、1stアルバム「お部屋でミステリーサークル」がリリースされます。こちらはCDのみの展開。聴きたきゃ買いんさい。しかしジャケがシュールだ。(歌詞の表記等は手元に現物がないのでテキトーです。これも余裕あれば追記したいところ)
収録曲は計13曲。
1.アメーバダンス⇒略。
2.点⇒イントロからディレイギターの重ね方が変態的で最高。ぎゅんぎゅん言いまくってる。ドラムとベースの入り方がなんかスタイリッシュ。演奏が進むにつれ、ディレイの設定やらエフェクトを細かく変えていっているのが最高。一音鳴らすだけなのにこんなにエフェクター使うんかい!ってぐらいころころ変えている。歌詞は相変わらず意味の通るような通らないような言葉遊びの範疇。
3.キンバリー先生と朝食⇒この曲は間奏が宇宙ですね(断言)。ギターが死ぬほど自由なことやってる。ベースとドラムがまともなことやってるから何とかギターが成立してるってぐらいに音色がヤバい。リングモジュレーターなんてそうそう使えないよねえ…歌詞も「ファンキーなのはハトだけでいい」ってどういうこったい。ちなみにデモよりテンポがゆるめ。あとベースの主張が控えめ。
4.ある日のできごと⇒ドラムがめっちゃ軽快に飛ばしてるけど、ギターとベースがなんかのったり動いている不思議な曲。けど後半でギターがデットヒートしてくる。そこがまたいい。歌詞で「This is the シュークリーム」って言ってるんだけど、たぶんそれ通じないよ。(シュークリームは英語でCream puffだし)
5.あこがれのネクタイ⇒略。
6.ヤノコーイチ⇒誰!?!?!?!?なんかファンクっぽいノリの曲。けど曲中に出てくるのは、テンションが高かったり低かったりして、マンションの屋上で映画鑑賞やティーパーティーをする「ぱるっくさん」だけなのだった。…だから誰!?!?!?!?…けど韻を踏む感じの歌詞は好みなのであった。てぃってぃりってぃってぃってぃっぱるっく、てぃったらっとぅったっ、ぱるっく。
7.ふりかえる、フレネミー⇒しょっぱなから「たんとんたん、たたとぅ、たんとんたん」とまた擬音が。なんかあっけらかんとしてるんだけど不穏な歌詞が好み。ちなみに「フレネミー」は『ホンマでっか!?TV』に出てきたのをそのまま歌詞にしたそーです。「フレネミー」がなんなのかは各自調べるように。あとこの曲で特筆すべきなのは、ギターソロという名のフィードバックノイズ。これには相当シビれました。これ以外だと橋本絵莉子波多野裕文の「トークトーク」にも同じような弾かないソロがあったけどそれより先行してるからすげえや。あと楽器隊のキメもかっこいいっす。ウス。
8.自分勝手にタイムコントロール⇒この中で一番つかみどころがない曲かも。歌詞もなんか無常感がある。「朝昼晩 遠隔操作されている くらい、あかるい、うすぐらい リピートボタン リセットできず」とかね。けど裏でギターはキワッキワの音色を奏でてる。
9.生活ガイド⇒「歌詞つくって菓子食べる」っていう言葉遊び満点なフレーズが耳に残る。けど「買いたてのテレビが壊れる日もあるじゃない」ってのはさすがになかなかないぞよ。楽器隊は特に書くことなし。麻痺してるのかもしれんな…
10.サイとんで、サイレン、ナイ⇒タイトルどういうことだ!てか急にジャズチックだ!と驚き満点の曲。突然ジャジーなピアノが入ってくるのです。ギターもジャジー。ドラムもジャジー。ベースもウォーキングベースっぽいし。(しのさきさんが弾いているらしい)けど歌詞は「サイ」にかけたゴロ合わせばっかり。ギャップがすげえよギャップが。ヘリコプターっぽい効果音はバスドラで工夫して作ったそう。聴けばわかるよ(言い訳)。
11.ワ--⇒これが正式表記。1分半の小曲。「プラスチック人間とハードディスク人間が知り合うとどうなる?」なんて言われても知らねえよそんなの…
12.フリーマン先生と夕食⇒またもジャジーなバラード。ラブソングっぽい。けど歌詞がちゃんとまじめ。それっぽいこと書こうとしてる。「キンバリー先生と朝食」との整合性が取れないくらいにまっとうな歌詞だ。
13.おばけ⇒一番最後に一番難解な曲が来た。楽器隊の演奏がほとんど体をなしていない。歌詞もめちゃくちゃ荒涼としてるし。最後に宇宙人感を出すな!ドラムは突然フィル入れるし。ギターはまともな感じで音階を弾いてないし。空間系のエフェクター使いまくりだし。ベースはまだまともに動いてるかな。最後の良心かも。インタビューによるとこの曲を一番最初に持っていこうとして、ほとんど「いいね!」しか言わなかったプロデューサー兼レーベルオーナーの須原さんから唯一ストップがかかったそう。試聴機でこれ一番最初に聴いたらびっくりするもんなあ…そんな感じの曲です。
さて、ひととおり音源の感想を書いていて思ったのは、「ギターについての感想、多っ!!!」ってことですよね。当時いわゆる「変態ギタリスト」に尋常じゃないあこがれがあって、ZAZENのカシオメンとか、嘘つきバービーの千布さんとか、想像のつかないフレーズを弾いたり、エフェクターを使いまくるギタリストが特に好きだったのです。その中の一人に宇宙人のギタリストであるこまつさんを入れてもいいくらいにその独特の音作りに憧れてました。
いかがでしたでしょうか?かなーり長くなりそうなので、2012年のメジャーデビューから解散~その後の部分は次回に回したいと思います。ではまた気が向いたら~。ばいなら。