後悔日和

わかりみ

SPARTA LOCALS『Leecher』(2008)

2016年にオリジナルメンバーで復活を果たしたポストパンクバンド、SPARTA LOCALSの7thアルバム。

オリジナルメンバー・中山昭仁の脱退後、サポートメンバーを迎えてバンド活動を継続していたスパルタに正規メンバー・梶山剛(Hermann H.&The Pacemakersなど)が加入して初となる音源。

これまで全曲の作詞作曲を担ってきた安部コウセイ(Vo.G)に加え、梶山も作詞作曲を行う(彼はギターも弾くマルチプレイヤーでもある)という新しい試みが行われた。

梶山のドラムは前任の中山と比べ、比較的重量のあるビートを感じるもので、某所でのレビューでは「ドラムは中山がいい」みたいな意見もあったのだけれど、個人的には好みな感覚。中山の全力でどこか「軽さ」を感じるドラムもいい(特に初期の楽曲には欠かせない要素だと思う)が、これはこれでスパルタ独自のキレ味が増しているように感じる。

で、梶山の作る楽曲もまたビシバシ来るカッコよさを感じるのだ。リード曲「パレード」のキレキレ加減は他の楽曲に引けをとらないし、2曲目「MONSTER」のテンション感はスパルタ随一ではないだろうか。しっかりとボトムを支える安部光広のベースもカッコいい。「チャランボ」の曲展開も好き。けど共作曲の「Good News」は地味かな。

安部の楽曲もこれまでのアルバムとはまた違うカラーを展開している。「俺、君のことが嫌いさ だから手を繋いでいいかい?」というサビが印象的な「トラッシュボーイ」に伊東真一(G)のソロが耳に残る「NEW HERO」、「JET JUICE」はついつい口ずさみたくなるポップなメロディが魅力だし、ラストの「氷のムーン」はバンド全体の乾いたグルーヴ感が力強く滲み出ていて実にたまらない。


結局、アルバムとしては本作が(一旦の)最終作となり、シングル『水のようだ』(こちらも梶山作詞作曲)が最後の作品となってしまったSPARTA LOCALS安部コウセイ曰く「ライブで行ったアメリカで大喧嘩して解散した」とのことで、2009年9月をもって一度解散する。

コウセイは伊東とともにHINTOを結成し、スパルタ時代とはまた別のメロウかつエフェクティブなアプローチを展開。一時期音楽から離れていた光広も後に合流し、スパルタの3/4のメンバーが揃う結果となった。

そして2016年12月にまさかまさかのカムバック。しかも、カイロプラクティッククリニックの院長になっていたオリジナルメンバー、中山昭仁を引き連れて。今年上旬には待望の新譜のリリースも予定されている。

中山の長いブランクや、メンバーの意向もあり、この時期の楽曲の演奏は今現在は行われていないそうだが、できればこれらの楽曲群もいつの日かライブで演奏されることを期待したい。

しかし、気がかりなのは梶山の現在の動向がつかめないこと。この時期の楽曲に欠かせない存在であった彼とわだかまりのない形で演奏することになれば良いのだが…彼が作詞作曲を行なっていたという事実が意外と知られていないので、是非是非知っておいてほしい。彼もいい曲を残しているのだということを。


Leecher

Leecher