後悔日和

わかりみ

さよなら、また今度ね『P.S.メモリーカード』(2013)

2010年に結成された男女混成4ピースバンドの1stフルアルバム。風変わりなバンド名はジョンレノンの雑誌インタビューに書かれていたアオリ文を引用したとのこと。

2012年「RO69JACK 2012」で優勝し、彗星のごとくシーンに登場した彼ら。ジャンクかつポップな楽曲を武器に、自主製作MVを量産していた彼らには初期の神聖かまってちゃんを想起させられる。

同年にリリースされた初音源の『菅原達也菊地椋介佐伯香織渋谷悠』(メンバーの名前そのまんま)は死ぬほどローファイで、爆音で聴いてたら耳がバカになるんじゃないかな?と思うくらいに音の棲み分けがめちゃくちゃな一枚だったけれど、本作は程よくジャンクさが抜け、聴きやすい音作りがされている。

このバンドが一筋縄ではいかない理由として、まずメンバーのキャラクターの濃さがある。やたらハイテンションでギターと鍵盤を行き来するボーカルに、長身でいつもジャージを着ているギタリスト。女性ベーシストはいつも半袖短パンでニコニコしているし、ドラマーはカエルの被り物をしながら演奏する。正直、キャラクターが多重衝突事故を起こしているのかと思うくらいに過剰だ。

そして、もうひとつの理由としてあるのが、ハチャメチャなテンション感のある日本語の歌詞。いくつか例を挙げてみる。

忌野清志郎をコントロールするなんてしちゃいけないことをしてしまいたい」(僕あたしあなた君)

「神々しい泉 ロック・イン・ザ・リッスン ずっと晒し、連邦 Better she is この肉ベタベタ 御茶ノ水 ぼくの大学生」(窓娘)

忌野清志郎をコントロールする、という言葉の発想が常人にあるか、そしてそれを歌詞にするかという問いがあるのなら、答えはおそらくノーだろう。しかし、菅原達也はそれをいともたやすく歌詞の中に放り込む。「窓娘」に至っては歌詞のど頭からこの状態だ。多分語感のみで書かれているのだろうけど、言語野狂ってるんか!と言いたくなる文章だ。

しかし、菅原の歌詞の本当の魅力はこのテンション感から来る圧倒的な「キラキラ感」にあると自分は思う。

「僕はいつだって風呂上がりのような顔で行く 銀行や携帯の支払いや全部二人で行きたい」(輝くサラダ)

月がきれいだなあ 星がかわいいなあ 財布なくしても 世界は素晴らしい!!」(僕あたしあなた君)

見てください、この圧倒的なキラキラを。文法や定型を超越して、矢継ぎ早に繰り出される言葉たちに、いつもやられてしまう。某所のレビューで「Base Ball Bear以来の強度のあるバンド」と書かれていたのだけれど、ほんとその通りだと感じた。

決して演奏がめちゃくちゃうまいバンドではない。だけども、このメンバーが放つキラキラ感はとてつもない。とにかく心から楽しそうで、わけわかんなくて、ぐっちゃぐちゃな笑顔みたいなそんなバンドが、さよなら、また今度ねの魅力なのだ。

惜しくも次作『夕方ヘアースタイル』(2014)のリリース後、活動休止を経て、2016年に解散に至ってしまった彼ら。解散後は音楽を続けるメンバーもいれば、一般職に就いたメンバーもいる。

個人的には、このメンバーが紡ぎ出す理屈や理論をねじ伏せるくらいのわけわかんないくらいなポップさをもう少し見ていたかった。

けれど、そのキラキラ感を出せるのはごくわずかな期間で、それをもしかしたら「青春」とか呼ぶのかもしれない。奇跡的なバランス感によって成り立っていたバンドだったし。けれど、このミラクルは音源の中では不変だし、今日もプレーヤーで誰かがこれを聴いているんだろうなあと考えれば、まあ、このキラキラ感は不滅なんじゃないんすかね。おわり。


P.S.メモリーカード

P.S.メモリーカード










SPARTA LOCALS『Leecher』(2008)

2016年にオリジナルメンバーで復活を果たしたポストパンクバンド、SPARTA LOCALSの7thアルバム。

オリジナルメンバー・中山昭仁の脱退後、サポートメンバーを迎えてバンド活動を継続していたスパルタに正規メンバー・梶山剛(Hermann H.&The Pacemakersなど)が加入して初となる音源。

これまで全曲の作詞作曲を担ってきた安部コウセイ(Vo.G)に加え、梶山も作詞作曲を行う(彼はギターも弾くマルチプレイヤーでもある)という新しい試みが行われた。

梶山のドラムは前任の中山と比べ、比較的重量のあるビートを感じるもので、某所でのレビューでは「ドラムは中山がいい」みたいな意見もあったのだけれど、個人的には好みな感覚。中山の全力でどこか「軽さ」を感じるドラムもいい(特に初期の楽曲には欠かせない要素だと思う)が、これはこれでスパルタ独自のキレ味が増しているように感じる。

で、梶山の作る楽曲もまたビシバシ来るカッコよさを感じるのだ。リード曲「パレード」のキレキレ加減は他の楽曲に引けをとらないし、2曲目「MONSTER」のテンション感はスパルタ随一ではないだろうか。しっかりとボトムを支える安部光広のベースもカッコいい。「チャランボ」の曲展開も好き。けど共作曲の「Good News」は地味かな。

安部の楽曲もこれまでのアルバムとはまた違うカラーを展開している。「俺、君のことが嫌いさ だから手を繋いでいいかい?」というサビが印象的な「トラッシュボーイ」に伊東真一(G)のソロが耳に残る「NEW HERO」、「JET JUICE」はついつい口ずさみたくなるポップなメロディが魅力だし、ラストの「氷のムーン」はバンド全体の乾いたグルーヴ感が力強く滲み出ていて実にたまらない。


結局、アルバムとしては本作が(一旦の)最終作となり、シングル『水のようだ』(こちらも梶山作詞作曲)が最後の作品となってしまったSPARTA LOCALS安部コウセイ曰く「ライブで行ったアメリカで大喧嘩して解散した」とのことで、2009年9月をもって一度解散する。

コウセイは伊東とともにHINTOを結成し、スパルタ時代とはまた別のメロウかつエフェクティブなアプローチを展開。一時期音楽から離れていた光広も後に合流し、スパルタの3/4のメンバーが揃う結果となった。

そして2016年12月にまさかまさかのカムバック。しかも、カイロプラクティッククリニックの院長になっていたオリジナルメンバー、中山昭仁を引き連れて。今年上旬には待望の新譜のリリースも予定されている。

中山の長いブランクや、メンバーの意向もあり、この時期の楽曲の演奏は今現在は行われていないそうだが、できればこれらの楽曲群もいつの日かライブで演奏されることを期待したい。

しかし、気がかりなのは梶山の現在の動向がつかめないこと。この時期の楽曲に欠かせない存在であった彼とわだかまりのない形で演奏することになれば良いのだが…彼が作詞作曲を行なっていたという事実が意外と知られていないので、是非是非知っておいてほしい。彼もいい曲を残しているのだということを。


Leecher

Leecher

挫・人間『苺苺苺苺苺』(2013)

2008年、熊本にて「全人類への復讐」を旗印に、下川リヲ(Vo.G)を中心に結成されたパンクバンド(だとぼくは思っています)。

ナンバーガールINUのコピバンを経て、筋肉少女帯、たまの要素、そしてバンド名にもまんま現れているさまざまな「挫折」を経て、それを代価に(?)「閃光ライオット」に出場し、特別賞を獲得。メンバーチェンジを経た後にリリースされた1stアルバム。

呪怨とリビドーと憧れと恋とその他なんやらかんやらを煮詰めたようなサウンドと歌詞はある意味で凶悪。下川本人もあまり聴かないらしい。

ど頭の「人類」は大学生(または糞人間共)に対する、妖精・下川リヲからの宣戦布告だし、「タマミちゃん」のナゴム系×メンヘラ的な掛け合わせは他にできる人がいるのだろうか?という組み合わせだし。

かと思えば「キス!キス!キス!」はねじれたポップソング。そして、その後の「何故だ!!!」の落差が半端ない。「初恋の君はGLAYのコピバン野郎と恋だ!合体だ!」…悲しいかな、この歌詞が実話ベースだということが。冒頭の怒涛の語り(もはや悲鳴に近い)がとても好きだ。このエネルギー、ほかにある?

以前、偶然下川が行なっていたツイキャスにコメントをしたのだが「うったまがった節」の歌詞にホームセンター・ナフコが登場するのは自分でもよくわからないとのこと。後半の歌詞、ビリビリきます。

「ちんちん大臣」はナンセンスソングなのかな?このレコーディング後に脱退した山口慎太朗(G)(後に公式HPにて下川の妹の彼氏だったことが明かされる)の力の抜けたソロ、この空気感が好きです。ライブアレンジもいいよね。あとアベマコト(Ba)がめっちゃいい声でワンフレーズ歌うとこ。

「ピカデリーナ受精」のカッティング、エッジの効きまくったベースとドラムの掛け合いもビシビシくる。このアルバムに参加しているオリジナルメンバー・吉田(Dr)のプレイが好きだったので、またどこかで聴けないかしらん。

「天使と人工衛星」は純粋なポップソング。良いパンクバンドには良いポップソングが一曲はある(と思っている)。「気づかれぬようにドキドキも忘れて ナイショにしたいよ!」ってアホみたいによくないですか???90年代のヒットソングにありそうだよ。

ラスト3曲の流れもすばらしい。「もしも私にお金があったら すぐにあなたを孕ませたでしょう」なんて歌詞から始まり、壮絶な轟音で展開される「サラバ17才」は非の打ち所がない鬱屈、焦燥感が見事に昇華されている。「天国」はシンプルにいい曲だ。素直な歌詞、良いメロディ、グランジですなあ。「式日」は下川の実妹(らしい)がボーカルを取るタイトルトラック的な小品。せつない。なんだこれは。このアルバム一枚でこんなに感情を振り回されるのか…となってしまう。このピュアネスと邪悪さのさじ加減ににおれは毎回やられてしまい、そしてまた聴いてしまうのだ。

スペシャルサンクスに「インターネット」って書いてるし、浅っさい自分の知識でどれだけ彼らのことを書けているかわからない。むしろ解釈違いかもしれない。

けれど、このアルバムに込められた熱量、これだけは誰が聴いても確かだ。サブスクでも簡単に音楽を聴ける時代だけれど、挫・人間はCDを買って歌詞を読んで、そしてライブにも足を運んでほしい。インターネットに収まりきらないリアルもあるはずだと自分は思っているし、円盤には収まらないロマンとかエネルギーとかもあるはずだ。てか実際にあった。けどインターネットはやっぱり大好きなのでした。しかしスマホでブログって意外と書けますね。おわり。


苺苺苺苺苺

苺苺苺苺苺


きどりっこ『きどりっこ』(1989)

1980年代後半〜90年代初頭にかけて活動したテクノポップバンドの1stと2ndを2in1にまとめたアルバム。(オリジナルはアナログ盤)


初期メンバーの松前公高(Key)は、のちに『おしりかじり虫』の作曲を担当し、シンセサイザーの入門書を執筆するなど、現在も勢力的な活動を続けている。


トータルとして、とにかく「バブルやな〜」という感じがそこら中に漂っている。

作曲を担当する佐藤隆一(Key)のプログレポップ×童謡的な楽曲群と、ボーカル・作詞を担当する、てんちゆみの変幻自在ではっちゃけ感のあるボーカルスタイル、そして天衣無縫で80年代感溢れる歌詞。これが2018年のいま現在聴いても、なぜか中毒になってしまう。フシギ。


「大胆不敵に 回転ベッド」とか「涼しい顔でずっとゴージャスしようね」とか、現代の感性では逆立ちしても書けないような詞とチープで懐かしいシンセ全開のサウンドから醸し出される雰囲気から、他にはない、きどりっこオンリーワンの世界観が遺憾なく発揮される。


その中に、香辛料的に民話チックでファンタジックな楽曲が織り込まれているものだから油断がならない。


聴く人を選ぶことは間違いない。しかし、その世界に一度ハマったらなかなか抜け出せない。飛び込むか、飛び込まないか、ぜひ一度聴いて判断してもらいたい。


と言いつつも、残念ながら現在廃盤。なぜかAmazonにもユニオンにも扱いがないという謎盤。わたしはメルカリで買いました。

次作『常夏姫』(1991)は中古市場でもめったに見かけない希少盤。しかし、現在はYouTubeでほぼすべての音源が聴取可能。文明ってすごいね。


https://youtu.be/97v2UZEh0z8


あと、キャプテンレコードって宝島社のレーベルなんですね。ゆら帝のインディー盤を出したキャプテントリップとごっちゃになってた。


しかし、佐藤さんとてんさんって今何やってるんでしょうなあ…


おわり。






たま『たま』(1996)

1990年に「さよなら人類」で鮮烈なデビューを果たした、アートフォーク(?)バンド、たまの7thアルバム。このタイミングでのセルフタイトル!すごい。


前年末に「さよなら人類」の作詞作曲を担当した柳原幼一郎(Key.Vo)がソロ活動に専念するために脱退、3人編成の新体制・「3たま」として新たなスタートを切ることとなった、たま。


本作はその新体制初となる音源。従来のたまの特徴である、耳なじみの良い美しいコーラスとアコースティックを基調とした楽曲はもちろん、実験的な試みを施した楽曲も多く収録。


特に、この音源では石川浩司Per,Vo)の楽曲が出色である。「デキソコナイの行進」は個人的には人生賛歌だと思うし、「青い靴」の幻想的な世界観はこのアルバムの楽曲の中でも随一だし、「全裸でゴ・ゴ・ゴー」は彼お得意のナンセンスさがタイトルから全開だ。


知久寿焼G.Vo)もどこかエロチックな「あんてな」や没入感に満ちた「ねむれないさめ」で知久ワールド全開。『ちびまる子ちゃん』のエンディングテーマとして書き下ろされた「あっけにとられた時のうた」は原作者・さくらももこが歌詞を担当。シングルカットされ、お茶の間の子供達にも親しまれる楽曲となった。


滝本晃司Ba.Vo)の楽曲群はひとことで言うと「夏」。本作以降、音符に対して言葉数を多く乗せた楽曲が多く見られるようになり、その片鱗は「なぞのなぞりの旅」でも確認できる。ヨーロピアン調な「レインコート」のコード感やアグレッシブな「終わりのない顔」の曲展開もいちいち凝っていてステキ。プレイ面でも「青い靴」の歪んだベースソロが圧巻だ。


ゲストミュージシャンとして参加した斎藤哲也Key)や栗コーダーカルテットの面々も好演を残した。特に斎藤が担当した「青い靴」のバックで暴れ狂うオルガンや「全裸でゴ・ゴ・ゴー」でのキーボードソロは何度聴いてもカッコがよろしい。


個人的には、「3たま」となってからのアルバムの中でも、12を争うくらいに好み。3人になっても飽くなき音楽への挑戦(この後、大胆なシンセの導入や、超アコースティック編成「しょぼたま」での活動へと続く)と、楽曲のクオリティのバランスが見事に均衡が取れた一枚。


惜しむべくは、本作と次作『パルテノン銀座通り』そして2枚をまとめたベストアルバムが廃盤となっていること。なかなかよいアルバムなのでぜひなんらかの形で聴いてほしい。求む再発!!!


たま

たま






bloodthirsty butchers『LUKEWARM WIND』(1994)

1994年リリースのbloodthirsty butchersの3rdアルバム。
初のメジャーリリース、レーベルはなんとTOY'S FACTORY。今じゃ考えられない組み合わせだなあ…
ちなみにジャケットのデザインが3種類あるそう。個人的には1999年のリイシュー盤のデザインが好き。(現在はすべて廃盤)

ブッチャーズといえば、次作『kocorono』(1996)が非常に有名だけど、個人的には、このアルバムを強く推したい。
1st『BLOODTHIRSTY BUTCHERS』(1990)から、2nd『I'm standing nowhere』(1993)、そして本作まで続いた、ポストハードコア的な流れの集大成的な作品だからだ。

サウンドは暴力的なまでの轟音。それもシューゲイザーのように美しい轟音ではなく、荒削りながらもどこか繊細さを感じる音塊が耳に飛び込んでくる。
そして、対照的に歌詞で紡がれる言葉はとても悲痛だ。

「つかむ嘘 先のことなど すべて見えている なんだかかなしい」(なんだかかなしい)

メジャー1stの1曲目で、こんな歌詞を持ってくるだろうか。自分だったらできない。
個人的にはブッチャーズを語るうえで、「轟音」と「叙情」という言葉が欠かせないと思っている。
しかし、このアルバムにはそれを突き抜けた「激情」を感じるのだ。

吉村秀樹射守矢雄小松正宏が生成する音と叫び(歌ではない。これはもはや叫びだ。)を聞き、歌詞の言葉を読んで、荒涼とした心象風景が徐々に見え始める。

「紙に今日を描く 今日を明日に写す 一行進んで繰り返す 毎日が同じ繰り返し」(ドント・ブレイク・ミー)
「昨日は死に 今日は生きて 明日を待つ 君はひとり」(トゥディ)
「君はその手を広げ 窓から海に飛び込む 違う世界を駆け抜け 僕を奈落の底へ」(ロスト・イン・タイム)

鬱屈とした歌詞世界だ。カオティックな轟音とともに、これらの言葉が容赦なく突き刺さる。
『korocono』は、まんま「季節」を感じるのだけれども、本作は救いようのない「痛み」も感じるのだ。

この「激情」や「痛み」という言葉に感じるものがあるのならば、とりあえずこのアルバムを聴いてほしい。
そして轟音に埋もれてほしい。可能な限り、大音量で。

しかし、とことんメジャー1stらしからぬアルバムだ。

ルークウォーム・ウィンド

ルークウォーム・ウィンド


宇宙人というバンドについて(その1)

みなさーん!こんにちは!!!

たいへんごぶさたしておりました。気分で久々にブログを書きます。ノートパソコンのキーボードが壊れました!こんちくしょう!(外付キーボードにて執筆中)

 

ところで、皆さんは「宇宙人」ってご存知ですか?

…いえ、地球外生命体ではなく、バンドの方の。

……いえいえ、バンドって言っても台湾のバンドじゃなくて、高知の。

………知らない。知らなくったって当然。なんせもう解散しているんですもの。

 

そんなヒジョーに検索しにくそうなバンドについて今日は書いていきたいと思います。

 

宇宙人は高知県出身、4人組のアヴァンポップバンドです。アヴァンポップがなんなのかはぼくもわかりません。各自調べるように。

メンバー編成はしのさきあさこ(Vo)、こまつけんた(G)、にいやひでひろ(B)、わだまこと(Dr)という特に変哲もない感じ。ぜんいんひらがなだとほんわかしてるね。

2008年に結成され、2012年にメジャーデビュー。3枚のシングルと3枚のアルバム、1枚のベストアルバムをリリースして2014年の年末をもって解散しました。

 

ぼくはこの解散の知らせ(兼ベストアルバムのリリース告知)を図書館に行く市電(札幌市の中央図書館は郊外の市電沿線にある)の中で見たんですが、結構驚きましたね。

なぜかというと、

①アニメ専門レーベルのスターチャイルドに(なぜか)所属し、タイアップ曲も結構評判だった

②ボーカル・しのさきあさこの個人ホームページができていた

③ライブが極端に少なかったものの、徐々にキャンペーンなどで顔出し(初期は顔出しすらしていなかった)も行うようになり、まさにこれからと思っていた

という、この3点にあります。ホントに当時は不思議でした。

 

メンバーの現在は置いておくとして、まずは時系列でバンドを振り返ってみます。まずはメジャーデビュー直前の全国流通盤のリリースまで。

(情報はほぼネットにあるインタビューやライブレポ等からです。すべてのインタビューはボーカル・しのさきさんによるもの。めんどいからいちいち引用とかつけないけど。)

 

2008年~2009年

高知県にて結成。

・いつの間にかメンバーが集まっていた。(最初の2年は地元のおいしい店の食べ歩きをしていたそう)

・本当はバンド名を「   」(スペースキー3つ分の空白)にしたかった。

 

しょっぱなから謎が多いですね…食べ歩きって…バンド名読めないって…

そして、メンバーが「いつの間にか」集まっていた、っていうのにはちょいと疑問が。

 

実はボーカルのしのさきさん、宇宙人の結成以前の高校時代に「まゆげ」というスリーピースバンドを組んでいたんですね。

いま手元に音源や資料がないので詳しいことはよくわかりませんが(余裕があれば後日追記します)、しのさき(G.Vo)女子(B)男子(Dr)で構成された高校生バンドみたいです。2001~2年ごろ結成、県内を中心に活動し、2004年にアルバム「超音パニック♪」(23曲入り!)をリリースし、その直後に解散してしまったようです。

 

超音パニック(音符記号)

超音パニック(音符記号)

 

 

この「超音パニック♪」、なんだかジャンクな良さがあります。演奏はあんま上手くないけど、単純なメロディーが頭に残るんですよね…あとは曲中で戦隊ヒーローみたいな寸劇を始めるとか…とにかく元気ではあるんだけど、なんだかシュールな迷盤です。廃盤だけど試聴はできるので「超音パニック まゆげ 試聴」で探してみんさい。あと、デザインがひどいブックレットには、なぜかスペシャルサンクスにマキシマムザホルモンの名前が!謎だ!興味が出たら買ってみんさい。安いから。

なので、しのさきさんがまたバンドやりたくなってゆる―く集まったのが宇宙人になったのではないのでしょうか?予測だけど。

 

2010年

フジロックの「ROOKIE A GO-GO」ステージに出場。(しのさき:「応募したら出れた」)

 

ROOKIE A GO-GOは応募したからってそうそう出れるものではない!すっげえなおい!

その時のプロフィールページの文言は「フランス帰りのギターとイギリス帰りのベース、アフリカ帰りのドラムに日本生まれのボーカルが、ニューヨークで出会い結成。」っていうもの。高知どこ行った。

 

2011年

・7月、Perfect Musicからデビューシングル「アメーバダンス/あこがれのネクタイ」をリリース。地元でのライブ活動、デモ音源の配布・販売等が一切ない中でのリリースとなった。

・8月、GYUNNE CASETTEより1stアルバム「お部屋でミステリーサークル」をリリース。

・10月、POLYSICSと2マン。レコ発ライブ(@大阪)。透明雑誌と2マン。

 

2011年はこんな感じ。Perfect Musicといえば神聖かまってちゃんですよねー(個人的には)。最近ではアイドルなんかも結構多くやってますね。そっからミドリとかあふりらんぽのアルバムを出したGYUNNE CASETTEでリリースって珍しいっすね。ギューンのオーナーの須原さんが大阪でのライブを偶然見てレーベルに誘う(おそらくこのライブで対バンだったのかな?→11月21日(日)@梅田HARDRAIN 『夏のあくび企画 その19』 - 『夏のあくび』日誌)→同時期にROOKIE A GO-GOに出演って流れみたいですね。この頃はギリギリアー写があったみたいですが、デビューのタイミングからは抽象的なイラストに切り替わってしまいます。匿名性を出してきやがった。理論方式だ!

そして、「地元でのライブ活動、デモ音源の配布・販売等が一切ない中でのリリース」っていうのには疑念が。前者に関してははっきりとした否定材料がないのですが(なんとなく地元でのライブスケジュールが書かれたページを見た記憶がある)、そして後者には完全なる否定材料が。なんと、デモ音源がYouTubeに上がっている!!!

 

www.youtube.com

 

いやあ、ぼくもこの音源のジャケを見たことがあったし、高知市内のレコード屋か何かで一時期売っていたらしいって情報もネットにはあったんですよ~(ページ失念)。だからこの動画見つけた時には正直驚きましたね。ありがとう、高知のインディーバンドをの音源を上げ続ける誰か!

ちなみにこのデモの収録曲は、1.あこがれのネクタイ 2.生活ガイド 3.キンバリー先生と朝食 4.フリーマン先生と夕食 5.動物1 6.サイとんで、サイレン、ナイ 7.こうもりとワルツをおどりましょう♪ 8.短縮1となっております。ちなみに5・7・8曲目以外はのちに再録されます。タダで聴けるから聴いてみてちょ。(音質はそんなによくない)

 

じゃあ、まずは「アメーバダンス/あこがれのネクタイ」について触れていきましょう。ちなみにサブスクでは一切聴けません。配信サイトからダウンロードするか、音源を買ってください。

アメーバダンス/あこがれのネクタイ

アメーバダンス/あこがれのネクタイ

 

 収録曲は全4曲。

1.アメーバダンス⇒ベースイントロの裏でディレイがぎゅんぎゅん言ってるのが◎。歌詞はどこまでも無意味&シュール。途中に「ザーク ドッホ ヴァス ヴェア ヴァイス」ってスキャット(?)みたいのがあるんだけど、しのさきさん曰く「ドイツ語の文章(意味は分からない)」らしい。なんじゃそりゃ!

2.あこがれのネクタイ⇒これはデモにも収録。デモではベース主体って感じだったのですが、このバージョンではなんだかボサノヴァっぽい。地味にドラムがいい仕事している。こちらの歌詞も言葉遊び中心。

3.脳がかゆい⇒曲名からして一気にキテレツな感じがしてきた。こっちもイントロからディレイノイズがぎゅんぎゅんと。いいねー。ちなみにギターのこまつ氏はこのぎゅんぎゅん音を出すためだけにエフェクターを購入したのだとか。最高だねー。歌詞も「テレポート」「受信」「トポロジー」「テレパシー」とか、バンド名に合ってる内容である。しかし「脳がかゆい」はパワーワードだなー。

4.へヴィ~メタルバイオレンス♡⇒曲名からし「どうした!!!!!」って言っちゃいたくなっちゃうよね。で、演奏もこれまたすごい。今までしなやかに、時には変態的に演奏していた楽器隊の演奏がやたら歪んでいる上に、ぐっしゃぐしゃなのだ。これは利き腕じゃない方の腕で楽器を演奏してみた(ドラムは左右逆のセット)そうで、しのさき氏曰く「偽・初期衝動を表現したかったから、中学生っぽい感じでやりました。」とのこと。それはまあいいとして、そこに乗っかってくる歌詞が「ちょびひげのさむらいがウインクをした」「さむらいが日サロからでてきたりもした」「ヘヴィ~メタル おにいさん おねえさん おじょうさん」ともはやシュールの極み。最後に突然「わに!!!わに!!!」とシャウトする頃にはわたしの脳は宇宙人に持っていかれてしまったのでした。なんぞこれ。なんぞ。

 

www.youtube.com

あと、あこがれのネクタイにはシュールなMVもあります。展開がほとんどねえ…

 

そんな衝撃的な1stシングルから間髪置かずに、1stアルバム「お部屋でミステリーサークル」がリリースされます。こちらはCDのみの展開。聴きたきゃ買いんさい。しかしジャケがシュールだ。(歌詞の表記等は手元に現物がないのでテキトーです。これも余裕あれば追記したいところ)

 

お部屋でミステリーサークル

お部屋でミステリーサークル

 

 収録曲は計13曲。

1.アメーバダンス⇒略。

2.点⇒イントロからディレイギターの重ね方が変態的で最高。ぎゅんぎゅん言いまくってる。ドラムとベースの入り方がなんかスタイリッシュ。演奏が進むにつれ、ディレイの設定やらエフェクトを細かく変えていっているのが最高。一音鳴らすだけなのにこんなにエフェクター使うんかい!ってぐらいころころ変えている。歌詞は相変わらず意味の通るような通らないような言葉遊びの範疇。

3.キンバリー先生と朝食⇒この曲は間奏が宇宙ですね(断言)。ギターが死ぬほど自由なことやってる。ベースとドラムがまともなことやってるから何とかギターが成立してるってぐらいに音色がヤバい。リングモジュレーターなんてそうそう使えないよねえ…歌詞も「ファンキーなのはハトだけでいい」ってどういうこったい。ちなみにデモよりテンポがゆるめ。あとベースの主張が控えめ。

4.ある日のできごと⇒ドラムがめっちゃ軽快に飛ばしてるけど、ギターとベースがなんかのったり動いている不思議な曲。けど後半でギターがデットヒートしてくる。そこがまたいい。歌詞で「This is the シュークリーム」って言ってるんだけど、たぶんそれ通じないよ。(シュークリームは英語でCream puffだし)

5.あこがれのネクタイ⇒略。

6.ヤノコーイチ誰!?!?!?!?なんかファンクっぽいノリの曲。けど曲中に出てくるのは、テンションが高かったり低かったりして、マンションの屋上で映画鑑賞やティーパーティーをする「ぱるっくさん」だけなのだった。…だから誰!?!?!?!?…けど韻を踏む感じの歌詞は好みなのであった。てぃってぃりってぃってぃってぃっぱるっく、てぃったらっとぅったっ、ぱるっく。

7.ふりかえる、フレネミーしょっぱなからたんとんたん、たたとぅ、たんとんたん」とまた擬音が。なんかあっけらかんとしてるんだけど不穏な歌詞が好み。ちなみに「フレネミー」は『ホンマでっか!?TV』に出てきたのをそのまま歌詞にしたそーです。「フレネミー」がなんなのかは各自調べるように。あとこの曲で特筆すべきなのは、ギターソロという名のフィードバックノイズ。これには相当シビれました。これ以外だと橋本絵莉子波多野裕文の「トークトーク」にも同じような弾かないソロがあったけどそれより先行してるからすげえや。あと楽器隊のキメもかっこいいっす。ウス。

8.自分勝手にタイムコントロール⇒この中で一番つかみどころがない曲かも。歌詞もなんか無常感がある。「朝昼晩 遠隔操作されている くらい、あかるい、うすぐらい リピートボタン リセットできず」とかね。けど裏でギターはキワッキワの音色を奏でてる。

9.生活ガイド⇒「歌詞つくって菓子食べる」っていう言葉遊び満点なフレーズが耳に残る。けど「買いたてのテレビが壊れる日もあるじゃない」ってのはさすがになかなかないぞよ。楽器隊は特に書くことなし。麻痺してるのかもしれんな…

10.サイとんで、サイレン、ナイタイトルどういうことだ!てか急にジャズチックだ!と驚き満点の曲。突然ジャジーなピアノが入ってくるのです。ギターもジャジー。ドラムもジャジー。ベースもウォーキングベースっぽいし。(しのさきさんが弾いているらしい)けど歌詞は「サイ」にかけたゴロ合わせばっかり。ギャップがすげえよギャップが。ヘリコプターっぽい効果音はバスドラで工夫して作ったそう。聴けばわかるよ(言い訳)。

11.ワ--これが正式表記。1分半の小曲。「プラスチック人間とハードディスク人間が知り合うとどうなる?」なんて言われても知らねえよそんなの…

12.フリーマン先生と夕食⇒またもジャジーなバラード。ラブソングっぽい。けど歌詞がちゃんとまじめ。それっぽいこと書こうとしてる。「キンバリー先生と朝食」との整合性が取れないくらいにまっとうな歌詞だ。

13.おばけ一番最後に一番難解な曲が来た。楽器隊の演奏がほとんど体をなしていない。歌詞もめちゃくちゃ荒涼としてるし。最後に宇宙人感を出すな!ドラムは突然フィル入れるし。ギターはまともな感じで音階を弾いてないし。空間系のエフェクター使いまくりだし。ベースはまだまともに動いてるかな。最後の良心かも。インタビューによるとこの曲を一番最初に持っていこうとして、ほとんど「いいね!」しか言わなかったプロデューサー兼レーベルオーナーの須原さんから唯一ストップがかかったそう。試聴機でこれ一番最初に聴いたらびっくりするもんなあ…そんな感じの曲です。

 

 さて、ひととおり音源の感想を書いていて思ったのは、「ギターについての感想、多っ!!!」ってことですよね。当時いわゆる「変態ギタリスト」に尋常じゃないあこがれがあって、ZAZENのカシオメンとか、嘘つきバービーの千布さんとか、想像のつかないフレーズを弾いたり、エフェクターを使いまくるギタリストが特に好きだったのです。その中の一人に宇宙人のギタリストであるこまつさんを入れてもいいくらいにその独特の音作りに憧れてました。

 

いかがでしたでしょうか?かなーり長くなりそうなので、2012年のメジャーデビューから解散~その後の部分は次回に回したいと思います。ではまた気が向いたら~。ばいなら。