後悔日和

わかりみ

2017

こんにちは。誰が何と言おうがこんにちは。

以前のブログは何やら通知がスパム臭いだのフォーマットがうざったいだので電脳世界の片隅に放置することにしました。二度と書くことはないでしょう。そしてこのブログもいずれ…

 

さて、 今回は表題の通り、2017年に自分が聴いた中で「こいつぁいいぜ!ヒャッハ―!!!」となったアルバムをご紹介したいと思います。(注:音楽を聴きながら「ヒャッハ―!!!」なんて言ったことは今までの人生で一度たりともない)

とはいえ、私は新譜をめったに買わないので、2017年度の新譜だけで2017年のベストを決めるにはちと枚数不足。…いやしかし、過去にも、いいや、過去にこそ価値がある!!!

そんな考えのもと、旧譜入りまくりのセレクトで9枚をお届けしたいと思います。簡単な基準としては「1月1日から12月下旬ギリギリまでに聴いた音源」「CD・配信での購入以外にもApple Musicで聴いたものの含む」「YouTubeで済ませてしまったものは選外とする」という基準でやっていきます。つまりゆるゆるなわけ。予算に余裕があるときにしか新譜は買えないし、Apple Musicで聴けないアルバムは聴きたくても先延ばしになるわけ。

まー、でもさー、もうこんな序文読んでたってつまらんでしょ?ぼくも眠剤飲みながらこの文章書いてるわけだからもうわけがわかんないわけ。とりあえずヒマだったら読んでみそ~!!!!!!!!!!GO!!!!!!!!!!!

 

 

 柴田聡子『愛の休日』(2017/5/17)

柴田聡子というシンガーソングライターをぼくはまじめに聴いていなかった。ほんとうはすごかったんだ。そう気付いたのは、ことし11月のスカートのツアーの対バンでだった。むかし「カープファンの子」という曲をYouTubeで聴いたことがあったんだけれど、歌いだしにインパクトがあったなーってぐらいの印象があって、それ以上の記憶はなかった。一応習慣でAmazonのお気に入りリストに入れておいたけどそのまんま。あとは、高知を中心に活動していると勘違いしたまま(一時期、高知の四万十市というところに住んでいたらしい)つい最近に至る。

何となく聴いてみたいけど機会がないままだった柴田聡子。今年の4月にニューアルバムリリースの知らせをナタリーで知る。…ほー、くるりの岸田さんがプロデュースする曲も入るのか。5月発売か。聴いてみるかなー。P-VINEだったらApple Musicでも聴けるし…と思っていたんですよ。超忘れてました。マジで。忙しかったり、うっかりしてたり、ライブビートも聴き忘れたり…ほんとにいろんなものが重なって聴きそびれた。

で、11月26日@札幌サウンドクルー。大慌てで聴ける音源を聴いてみて、ライブに向かったわけなんです。

弾き語りのライブだったんですが、繊細につま弾いたり、豪快にカッティングしてみたり、歌詞がめちゃくちゃツボだったり、曲終わりは必ず「センキュー」って言ってたり。いろいろあったんですが語彙力がないのでこの辺で。

で、その5月にリリースされた『愛の休日』というアルバムについて。

柴田さんは平易なことばで自分の世界をちゃんと作れるのがマジですごいところで。一曲目の「スプライト・フォー・ユー」は「新幹線の窓から富士山が見えた」っていうワードからシームレスに「あなた」の話になって、最後の最後で「スプライト」につながる構成が綺麗につながっていて感服しそうになる。「大作戦」も「チアガールがいる」とか「100m9秒で走る」とかものすごいワードの引っ張り方だし、「オールナイトロング ミカエル ガブリエル ラファエル 白けてる」(「天使を見てる」)とか、「女らしくなったって言われてみても 男やってたつもりないけど」(「遊んで暮らして」)とか。「思惑」なんか河童の歌だし。「ポリカーボネイト」なんて言葉が入ってきたり(「さばーく」)、「リスが来た」では「ダイエットしながら 太ってんじゃねーよ」なんて言葉を持ち出して男女ツインボーカルで穏やかに歌い上げたり。

柴田さんの詩は本当に評価が高いらしく、詩集「さばーく」を昨年上梓。第5回エルスール財団新人賞の現代詩部門で受賞しているそうな(たぶんすごい)。詩の方面にバリバリ興味が出ているので近々買います。(ちなみにアルバムはApple Musicで聴いている。歌詞はサイトを使っている。だから細かいことが書けんのだ) 

サウンドももちろんいい。リード曲の「後悔」はめちゃくちゃ華やかで祝祭感があるし、「ゆべし先輩」の突然の豪快なカッティングとか(ライブで見たとき、柴田さんの目が”マジ”だった)、ラストの表題曲「愛の休日」なんかゴリゴリのエレクトロポップでワタクシ驚きましたわよ。けど、どの曲の音も絶妙な塩梅なんだよなあ。

「あー、なんかいい詩と曲をいっぺんに聴きたいなー!!!」といわれたら、ぼくは真っ先にこのアルバムを勧めてみようと思います。いいアルバムですよ。

  

愛の休日

愛の休日

 

 

 P-MODEL『Perspective+11 Tracks』(2007/4/25)(オリジナル盤:1982/3/1)(廃盤)

みなさん、「師匠」と聞いて誰を思い浮かべますか?ぼくは断然、平沢進

平沢進といえば、みんなだいすきけいおん!」の登場人物の元ネタになった人でおなじみですが、なんだかよくわからないけどすごいおじさんだってことぐらいしかわからないんじゃないでしょうか?大丈夫。ぼくも同じだ。

簡単に説明すれば、80年代にテクノポップやって、そのあとストパンやって、またテクノポップやって、メンバーをとっかえひっかえしながら、だんだんと電脳世界とかタイとかつくば周辺で着実にかつ確実に信者を増やしてきた人だと思ってください。ぼくの限界はここまでだ。あとはググってください。ファンの方ごめんなさい。

さて、このアルバムは、ヒラサワ氏がかつてやっていたP-MODELというバンドの4枚目のアルバムです。1枚目と2枚目はテクノポップ(どちらかといえばテクノパンク?)って感じのアルバムなのですが、3枚目の「potpourri」(ポプリって読むよ。ややこしいね)からは、ベーシストが脱退し、かなりダークでキチった世界観になっていきます。

この『Perspective』は、ベーシストに当時高校生だった菊池達也を迎えて制作された。このアルバムの発表後、平沢の右腕とも称され、バンドの方向の要であったキーボードの田中靖美が脱退。ここからP-MODELはさらに方向転換が図られるわけだが、それはまた別のお話。

中身の話に移ろう。「Perspective」は「遠近法」という意味。その名の通り、遠近感がある音作りがめっちゃくちゃ素晴らしい。情報によるとレコスタのビルの階段で録音をしたり、マイキングにめちゃくちゃこだわったり、ドラムの音も分解して録っていったというこだわりがあるとのこと。1982年作とは思えない音の感じがある…少なくとも5年は先に行ってる感じがある。

『Perspective+11 Tracks』とタイトルにあるじゃない!とお思いのあなた。このプラス11曲は当時カセットテープのみで発売になった、別アレンジ+未収録曲で構成されたアルバム『PerspectiveII』をボーナストラックにつけちゃっているんです。お得!!!けど、この盤、廃盤になっちゃってまして…最近、『Perspective』は再発されたんですけど(Apple Musicでも聴ける)、ボーナストラックはないんですよね…なので、この盤を買わないと基本的に聴けないので注意。てか、なんとかしてくれ~!

そんなややこしいボーナストラックなのですが、アレンジの違いを書いてある文章はインターネット広しとも見当たらない。なので自分でもわかる違いを(ボーナストラック基準で)ここで書かせていただいて、レビューに代えさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(ただの放棄である。いずれにせよかっこいいアルバムですので聴いてちょんまげ~)

1.Heaven→冒頭のサウンドコラージュ・ギターソロに違いあり。「つっき!」がない。

2.列車→中盤にうねるシンセがある。

3.Zombi→曲全体にミュートギターの刻みが鳴っている

4.Coelacanth→あれ?違いあった?

5.うわばみ→あれ?これも違いあった?

(5.5 Mercator→ボートラのみ。機械的なループ感がある)

6.Perspective→シンセのリバース音が違う、最後の「フ~」ってコーラスがない

7.Solid Air→ドラムにより打ち込み感がある。ハットが打ち込みだ!(裏でこっそり生のハットも鳴ってる)

8.のこりギリギリ→シンセの音色が微妙に違う。歌い方がライブっぽくなってる。

9.PerspectiveⅡ→イントロからドラムが入ってる。イントロ自体微妙に長い?

(9.5 Blümcale →ボートラのみ。人間椅子みたいなフレーズのギターが印象的なループもの) 

Perspective+11 Tracks(紙ジャケット仕様)

Perspective+11 Tracks(紙ジャケット仕様)

 

 

SuiseiNoboAz『liquid rainbow』(2017/3/22)

スイセイノボアズが4人になった。そう初めて聞いたときには衝撃を受けた。スイセイノボアズは、2007年に結成された日本のロックバンドだ。セルフタイトルの1st(2010)向井秀徳プロデュースということもあり、話題を呼んだ。ディレイの使い方に向井イズムを感じる1枚だ。翌年には『THE (OVERUSED) END OF THE WORLD and I MISS YOU MUH-FUH』という死ぬほどタイトルが長くて死ぬほどかっこいいアルバムをリリースしたのち、2013年にはavexcutting edgeレーベルよりメジャーデビュー。アルバム『ubik』をリリース。順風満帆かと思われた矢先の2014年6月、ベース・溝渕匠良、ドラム・櫻井範夫がそろって脱退。人力ドラムンベースとも称されることもあるリズム隊の脱退は当時衝撃だった。そして残されたのはギターボーカルの石原正晴、ただひとりだった。

このままフェードアウトしてしまうのではないか、素晴らしいバンドの音楽がまた聴けなくなってしまうのか…と当時は思ってたのだが、それはすぐに覆された。7月にライブが行われたのだ。それまでの3人編成ではなく、4人編成で

サポートメンバーとして迎え入れられたのは、コーノタケ(LAGITAGITA)、ヤノアリトTACOBONDS、H Mountains)、高野京介(ゲスバンド、うみのて、大森靖子&THEピンクトカレフ)の三人。全員名うての面々だ。ぼくは特に高野氏のファンで、いまでも憧れのギタリストのひとりだ。そんなメンツが入るなんて気になりまくりだ。しかし、ぼくはライブを見るために他府県に出るほどアクティブかつ裕福な人間ではない。市外に出ることすらめったにない。札幌シティーでことが足りるのだ。

そして「いつか見てえなあ」という感情が積もりに積もった2015年、新体制初作品の7インチレコード『mizukamakiri』がリリースされた。リズム隊が変わり、ギターが2本になったけれども、ボアズ独特の雄大というか、力強さというか、そういうものは変わらなかった。そしてメンバーはまだサポートのままだった。当時聴いたウェブラジオで石原氏は「赤字じゃなくなったら加入してもらいたい」と言っていた。さらに期待が高まる。もしかしたらライブも見られるんじゃないか、と。

2016年にはサバイバルアクションゲーム「LET IT DIE」のサウンドトラックに楽曲提供(これがとてもかっこよかったんだ)。そして2017年2月。ついに3人が正式加入。これでスイセイノボアズは正式に4人組になった。それと同時にニューアルバムのリリースも発表された。

ぼくは金銭的事情からすぐには購入できなかったが、ツアー日程が発表され、札幌公演が決定してから即買った。

打ち込みのリズムトラックから始まるのはなんだか意外だった。一曲目の「liquid rainbow」はそれまでのボアズとはまた違う印象をぼくに持ち込んできた。やめてしまったメンバーに捧ぐようなフレーズがあったのもぐっと来た。「歯のないノマド」って言葉は発明だと思う。二曲目の「PIKA」はもはやボアズとしか言えなかった。力強いリズム隊、雄大なギター、そして高らかな歌。そう、これが、ボアズだ。MVも泣けるほどボアズの色をしているんだ。そこからは一気に聴きこんだ。「GAKIAMI」はキラーフレーズ「イエーイ なんか食いてえ」が炸裂している。なんだこのかっこいい音の塊は。再録された「mizukamakiri」はさらに広大な空の下が似合うような曲になってた。高野さんのギターが光る。「ONIKAGE」もリズム隊がバッキバキだし、再録された「greenland」はピアノじゃなくてギターになってた。(ぼくはピアノのほうがすき)「hypercub」から「ghostbusters」の流れは雨上がりの街のようにうつくしい。なんだこれは。なんなんだ。そして、ラストのアウトロ的な「Have a nice day, Babylon.」で現実に引き戻される。ボアズは新宿がよくモチーフとして引き出されるバンドだ。ラストでチルアウトっていうか、新宿の街にいつのまにかひとりで何も考えずたたずんでいるような、そんな読後感(読んでないけど)を覚えるアルバムだ。

そして8月26日。札幌のライブハウスにぼくはいた。むろん、スイセイノボアズを見にきたのだ。結論から言って、ライブはサイコーだった。特に「GAKIAMI」の緊迫感がすごく印象に残っている。「ONIKAGE」の絶叫とドラムもすごかった。この4人になってもボアズはボアズなんだと感じさせるライブだった。かつての3人体制はもう見られないけれど、違った良さがある。しかし、溝渕さんものりおさんも別の道を歩んでいる。のりおさんはいま何やってるんだろうな。バンドは水物だってよく言われる。僕の大好きなバンドはどんどん解散していく。音楽をやめる者もいれば、続ける者だっている。ぼくはバンドをやったことがないのでよくわからないけれど、複雑な運命共同体だってよく聞く。一度解体してしまったものを新たなパーツで組みなおすのは死ぬほど大変な作業だろう。ぼくはこの選択は間違っていないと思う。ぼくはスイセイノボアズをこれからも聴き続けるだろう。昔も今もこれからも。 

liquid rainbow

liquid rainbow

 

 

橋本絵莉子波多野裕文橋本絵莉子波多野裕文』(2017/6/21)

このパートの文章を書いているのは11月下旬なんですが、23日に衝撃のニュースが飛び込んできましたね…

「チャットモンチー、2018年7月をもって""完結""」

ぼくたちの世代にとっては無視できない存在のガールズバンド、チャットモンチー。ここ10年くらいのガールズバンドの8割くらいは彼女たちに何らかの影響を受けてるのかってぐらいにめっさすごいバンドですよね。

ぼくはド直球で衝撃を受けたわけではないけどそれなりに聴いていて、好きな曲とかもあるわけです。トリビュートアルバムの一般公募もやってくれるな…って感じですよね。ぼくも宅録やってるんでえっちゃんやあっこさんに聴いてもらえる機会が万が一にでもあるんならやってみようかなーって所存であります。

(ここで時間は2017年12月下旬に飛ぶ)

あー忙しい…死…死…1600字以上暗記ってなんなん…社会…ファックオフ…

あ、どうも!!!多忙すぎてひと月も文章考えないままここまできてしまったぼくです!!!どうでもいい?知るか!!!!!これから正月休みもあんまりないんじゃクソが!!!いまも現実逃避でこの文章が書かれているんじゃ!!!!(ちなみにこのブログの大半は12月末に書かれているよ!どこがその部分か予測してみよう!)

さて、一通り毒づいてスッキリしたので話題の続きへ。宅録はあきらめました。ほんとは「拳銃」のカヴァーでも作るべか~と思ってたけど前述のとおり時間ないし。けど余裕があったら個人的にやってみるから応援してくれよな!!!

さて、前述のようにチャットモンチーは個人的にさらっとしたファンだったわけですが、ぼくが昔っから好きなバンドがありまして。People In The Box。中学生の頃、UHBというローカル局「FACTORY」の再放送をやってまして。そこで「火曜日/空室」という曲を偶然に聴いたのが出会いでした。「えっ、こんな音楽があるのか!!!」っていう驚きと、シンプルながら難解な歌詞にずっきゅんときたわけです。(当時ぼくは無駄に難解な小説ばかり読んでたので加速度的にハマった)で、この曲が収録されている『Ghost Appleを買うわけです。曜日をテーマにしたコンセプトアルバムなんですが、トータル感がよくてめちゃくちゃ聴き込んだわけです。当時ぼくは中学2年生だったかな?友達にIくんというやつがいて、amazarashiとかのアルバムを貸してたんですけど「これめっちゃいいよ!!!」といって他のバンドのアルバムと一緒に『Ghost Apple』を貸したらこれだけ無言で返された覚えがあります。元気かな、I君。

それ以降も、ピープルの音源は割とコンスタントに聴き続けていて、大学入学ごろぐらいには『東京喰種』のタイアップもあったりして、当時入っていたサークルの人に「東京喰種のアニメの曲歌ってるバンド好きなんだよねー!」といったら「そんな曲あったっけ?」といわれて思考停止したこともあったなあ…無常…

さて、そんな二つのバンドの顔、橋本絵莉子波多野裕文が組んだユニット、名前もそのまま橋本絵莉子波多野裕文。アルバム名もまんまの橋本絵莉子波多野裕文。超ォストレート!しかも演奏は全部二人だけで行われているとか。

これ実はまだ盤で持ってなくて、(初回特典の「波多野語録」がめっちゃ読みたい…)Apple Musicからのノミネートとなります。アルバムの中身はというと、温かさと遊び心と可愛らしさでいっぱいでした。

今作では作曲の大半がハタノさん作詞の大半はえっちゃんが行うという感じなのですが、ハタノさんが作る美しくて儚い楽曲に、えっちゃんの声と詩が乗るとこんなにすげーのか!「1+1は2じゃないぞ。オレたちは1+1で200だ。10倍だぞ10倍!」って言ってたプロレスラーもいましたが、まさしくそんなノリで聴けちゃう。

気に入った曲を挙げていくと、「飛翔」はおそらくえっちゃんの幼少期をそのまま反映したようなミクロだけど濃厚な世界の曲だし、ハタノさんが歌う「幸男」はピープルにこんな曲なかったっけ?ってぐらいえっちゃんの詩が馴染んでる。(「翻訳機」って曲と一緒に聴いたらわかるかも)「トークトーク」はとにかく美しいっすね。ギターソロ感のないギターソロがくるおしく好き。「君サイドから」は歌詞がとてもいい。「ふじ色のさるすべり」ってワードをよく持ってきたな~。8000点。最後の「臨時ダイヤ」は歌いたくなっちゃう。もしツアーやったら確実に盛り上がるよこの曲。りんりん臨時ダイヤいやいや~ってつい口ずさんじゃう。

ふたりだけで全部演奏していることもあり、ハタノさんの確かなギターが全面的に出てるし、えっちゃんのパーカッション的要素も併せ持つ、めちゃくちゃうまいわけでないけど味のあるドラムも、二人の歌声も、なんかすごく「昔からやってました?」ってくらい相性が良くて馴染んでる。うーむ…すごい。

えっちゃんはチャットモンチーから先どうなっていくんだろうなあ…ハタノさんの喉大丈夫かなあ(先日の札幌のライブで喉を酷使してしまったらしい)…とか考えながら、ふたりがいい音楽をそれぞれ生み出しつつ、4年に一度くらいでいいからまたやってくれないかなあと思ったりするのです。

 

橋本絵莉子波多野裕文

橋本絵莉子波多野裕文

 

 

パスピエ『娑婆ラバ』(2015/9/9)

 近年の日本の邦楽ロックシーンを日々チェケラしている人なら、必ずと言っていいほど名前を聞くバンド、パスピエ。東京藝大卒のブレーン、キーボードの成田ハネダと存在感抜群のボーカル・大胡田なつき、さらに確かな腕を持つ楽器隊で構成される5人組バンド。武道館公演も成功させている、実力派バンドのひとつともいえよう…と思ったら、最近ドラムのやおさん抜けちゃいましたねー…道産子なので個人的には親近感あったのですけれども…(サポートがex.踊ってばかりの国佐藤さんなのはちょっとうれしい。いいドラマーなんで。)

そんなパスピエ、4人編成初となるミニアルバム『OTONARIさん』もリリースし、さて今後はどうなる!?ってな状況ですが、ぼくが今回おすすめしたいのは2年前にリリースした『娑婆ラバ』なんすよねえ…新譜どころかさらにもう一枚アルバム(『&DNA』)すっ飛ばしてのコレ。

ぼくはパスピエを最初の流通盤(『わたし開花したわ』)が出たときから追ってたんですが(今となっては超レアな自主盤『ブンシンノジュツ』はタイミング逃して買い忘れた。少し前まで配信やってたのでなんとか聴けてるけど)、熱心に追ってたのは1stアルバム『演出家出演』(2013)くらいまで。音像がめっちゃ好きなんです。某楽器店の広告動画にギターの三澤氏がレギュラーで出てて、それもちょくちょく見てた。そのあとの『幕の内ISM』(2014)がなんだか整然としすぎて性に合わなかったり、シングルのリリースペースが自分にとっては早すぎたりして、しばらくは熱心に聴いてなかったんですよね。『娑婆ラバ』も試聴だけで済ましてたし(ぼくは店で試聴するときは10秒かもしくはサビまでしか聴かない)。

で、Apple Musicという文明の利器が導入されて(学割で480円で聴ける…これ以上最高なことがあるか!?)、どーれ、ひさびさにパスピエでも聴いてみるべかーってな感じで聴いたのが『娑婆ラバ』だったんですね。

これがめっぽうよかった。

力強い「手加減の無い未来」で幕を開け(この曲なんかサッカーに合う気がするんですがどうでしょう?)、タイアップ曲だけあってサビが特徴的な「裏の裏」、サビ前の歌メロが好きな「アンサー」、個人的に一番好きな蜘蛛の糸(後述)、三澤氏のギターがキレッキレな「術中ハック」、シンセが全面的に出たどポップナンバー「贅沢ないいわけ」、流れを変えるバラード調の「花」、各楽器のアレンジが凝った「ハレとケ」、曲展開がグッとくるリード曲「つくり囃子」MVもめっちゃ好き)、軽快でコロコロした曲調が癖になる「ギブとテイク」、もう一つのシングル曲「トキノワ」はラスト前の起爆剤に。ハットの刻みが好き。ラストの「素顔」はシンセの音色が好きです。なんだろうこの80年代感…。以上全十二曲。初回盤は十曲入りのライブDVD特製風呂敷までついてくるお得仕様。すげえな。

この楽曲群の中では蜘蛛の糸が抜群に好きで…言葉遊び的且つ深読みも出来るような詩と、アジアンテイストなメロディーラインの動きと転調がほんとに何度聴いても飽きない。そんな手あるのかーーー!!!ハチャーーーーー!!!ってなっちゃうんですよね。こんな曲作れたら死んでもいい。それくらいすき…あと「つくり囃子」のギターソロの裏のキーボードが狂ってて最高です。

総評としては、なんかもうアルバム全体がシングルカットできるぐらいい曲ばっかなんですよね。カロリー過多みたいな表現になっちゃったんですが、トータルバランスで見ると意外とまとまりがいいんですよね。なんでなんだろう。…そうだ、これは山岡家なんだ。個性の強い麺とスープと具材がひとつの丼にまとまっているんだ。そして定期的に食べたくなる…もうそういうことでいいじゃないか。ああ、山岡家の特味噌食べたい…

そして、パスピエを「なんだい、最近の邦ロックじゃねェか!聴いてられるかいべらんめえ!」と思っているあなた。このアルバムは一味違いますぜ。フジファブリックのメジャー1stみたいなノリで聴いて下さい。感覚が変わりますよ。(わかって下さい)

 

 

紙コップス『紙コップス3』(2017/3/3)

紙コップスというバンドを知っている人はあまりいないかもしれない。名古屋を拠点に活動する男女混成の3ピースバンドだ。ぼくは同郷かつ親交があるという、ヒトリエのシノダ氏のRTで知りました。ここまでは普通だよね。

で、ここにさらに要素を付け加えてみよう。まずベースレス。けど、ベースレスのバンドなんていまのご時世ゴロゴロいる。さらにもうひとつ。編成が基本的にギター、鍵盤、廃材ドラムだってこと。

廃材ドラムとは?イメージとしては、まず、たま「さよなら人類」を聴いてください。ライブ版ね。で、ランニングで「ついたーー!!!」って叫んでる人の機材に注目。空き缶とか桶とか色々なものを叩いてます。それがドラムセットに組み込まれてると考えてください。

まあ、実際、紙コップスのライブ映像を見る方が早いんだけどねーー!!!てかバスドラが犬小屋だよ!!!(たまもめちゃ好きなんです。すみません)

まあ、たまを引き合いに出したのも、全員がボーカルを取り、コーラスワークが見事で、アコースティックを基調に独特な編成っていう共通項があるんです。

で、中身なんですが、とにかくポップ。そしてメロディーラインがやたらいい。リードトラックの「ぷちゃへんざ」はリズムがエキセントリックに変化して聴いてて楽しい。MVも力作。「わすれもの」はちょっとダークなAメロから、キャッチーなサビへの展開が好き。「俺は天使なんかじゃないは好きすぎてコード譜を作ってしまった。「蚊」はコーラスが凄くキレイ。日本一短いタイトルの曲のひとつでもあったり。

中でも一番好きなのが「きくちのタイフーン」。鍵盤のきくちさんがメインボーカル。この曲、今年一番の泣きメロです。曲展開もコーラスも歌詞も全部ひっくるめて泣けます。せつなさがハンパない…曲単位でいくと今年上半期のナンバーワンです。MVもあるから聴いてみてね。

ちなみに言うと、このアルバムはApple Musicでも聴くことができます。けど気に入りすぎて盤で買っちゃいました。

あとは一回ライブも見てみたい!!!名古屋のバンドだからいつ見れるかわからないけど…いつか絶対観るぞ〜!!!

…文章が締まらない。まいっか!!!!!!!

 

紙コップス3

紙コップス3

 

 

チャクラ『さてこそ+5』(2011/10/19)(オリジナル盤:1981/11/21)

読者の皆様、チャクラというバンドをご存知でしょうか?

80年代初頭に活動していたテクノポップ/ニューウェーブバンドなんですけどね…これは2ndアルバムのリイシュー盤です。ちなみにメンバーチェンジが結構あって、デビュー前は7人編成、1stの頃には5人組、2ndではベースとキーボードがメンバーチェンジ(ベースの人はお坊さんになったらしい)、そして3rdアルバムではボーカル:小川美潮、ギター:板倉文の二人体制になって、自然消滅…ってな感じになってしまいます。ちなみに小川さんは一昔前のサンクスのサウンドロゴとかもやられてます。「すぐ、そこ、サンクス♪」ってやつ。

閑話休題。わたしはなぜこのバンドを知ったか。パスピエのボーカルの大胡田さんが、ボーカルの小川さんのファンだったり、スカートの澤部さんが「まだ」(3rdに収録)という曲をカバーしてたり、ぼくが昔から聴いているパスカルズというバンドのドラマー・横澤さんが在籍していた(あとから知った)っていうのもあったんですが、やっぱり一番大きかったのはYouTubeってのがあって、なんと、フルで聴けるんですよ。

「いやいや!YouTubeで聴いたのはカウントしないとちゃうんかい!」と考えた方も居られるかもしれませんが、ご安心を。気に入りすぎて盤で買いました

いや、でも、入口としてほんとにありがたいことだったんですよね…ヒマだった時に日に3回は聴いてたこともあったんで、買うのは時間の問題だったんですよ(アナログ盤を買う夢まで見た)。

何がすごいかって?

まずは細野晴臣プロデュースだってこと。当時の細野氏と言えばYMOの活動でも華やかりし頃。諸事情のためか、プロデュースではなく「制作協力」名義でクレジットされているようですが…とにかくThis is Techno-POPってな感じなわけよ!!!(強引)ちなみに今作でベースを弾いている永田さんは、YMOのローディーをやってたとのこと。ついでに言うと、バンドの当時の所属事務所はナベプロだったそうな。とにかく謎。

まあそんな昔の事なんてようわからんので、中身について。

個人的に好きな曲を挙げると、「めだか」は力強いリフと裏でブンブン言ってるベースが最高。「おちょーし者の行進曲」は調子っぱずれなぐらいテンション高くて、聴いてると謎パワーが湧く不思議な曲。「いとほに」はメロディーのドレミ…をハニホ…と置き換えてそのまま歌詞にしたという素っ頓狂な曲。和と思えば後半にはカーニバルっぽくなる。初音ミクをもし手に入れたら歌わせたい。誰か作ってくれませんか?「Free」も単純にいい曲だし、「微笑む」は5拍子のカッコいい曲だし、「ちょっと痛いけどステキ」も炸裂しまくってるし…ああ!語彙力がほしい!ていうか捨て曲がないです!流れもとてもいいし。

あと「+5」っていうくらいだから5曲ボーナストラックが追加されているのです。白眉なのが「おはよーみなさん」「ちょっと痛いけどステキ」の初期版。どちらもトチ狂ってます。「ちょっと痛いけどステキ」なんて10分もありますからね。(原曲は3分くらい)物凄い叫び声とか入ってたり、演奏もすっごいキワキワをついてきます。もはや崩壊しているといってもいい。

最近、新譜にあんまり魅力を感じなくなって、古い音源を掘り起こしていくようになってしまったんですが、それは確実にこのアルバムに一因があります。80年代ってハマっちゃうとホントにどハマリしちゃうわよ。もはやわたしなんかチャクラの後の活動も追っちゃってるし…ひとまず聴いてみなさんな。YouTubeでもいいから。

(ちなみにこのアルバム、微妙に在庫が不安定っぽいので、買う時には在庫の確認をおすすめします)

 

さてこそ+5

さてこそ+5

 

 

トリプルファイヤー『FIRE』(2017/11/2)

トリプルファイヤー、最近各方面でよく聞きますよね。とくにボーカルの吉田さんタモリ倶楽部に三度出演したり、なんかラップバトルに出たり、今度は深夜の連ドラに出演って。ハチャメチャやん。最近の野田洋次郎かよ。(うまい比喩がない)

だがしかし待て。そんな「面白い人がいるバンド」としてトリプルファイヤーをないがしろにしてはいけない。

確かに吉田さんの詞は「普通そんなの書くかよ!」ってくらいにユーモラスだ。ゲームしかやってないから、とか、今日は寝るのが一番よかった、とか。しかし、バックの楽器隊。これこそがトリプルファイヤーにヤバさを感じる大きな要因だ。トリプルファイヤーでは吉田さんとギターの鳥居さんの二人が曲作りを担っている。

ここで、過去作の二人の作曲比率を見てみましょう。

1st『エキサイティングフラッシュ』(2012)吉田5:鳥居2 (なるほど)

2nd『スキルアップ』(2014)吉田1:鳥居8 (!?) 

3rd『エピタフ』(2015)吉田3:鳥居8:共作1 (!?!?) 

そして今作では、吉田2:鳥居9の割合になってます。なぜそうなるのか。吉田氏いわく「鳥居君が曲作ってくれるんで…」「自分の怠惰が…」と各所で語っています。いや曲書けよ…と思うけどこれがトリプルファイヤーか…とも思ったり。

まあそんな前置きはともかく。過去作から見ていくと、1stと2ndはニューウェーブとかポストパンクの影響が割と強くあって、結構ギターも歪んでたりするんですよね。それが前作ではなんかアフロっぽかったり、ファンクっぽい曲もあったり、ふり幅がぐっと広がったなあって感じが結構あったんですね。その反面、カッコいいんだけど、結構聴く人を選ぶかもなあ…って感想も覚えたり。

で、今作『FIRE』鳥居さんのブログを見ると、リズムについてのメモが結構あって、今作はさらにリズムを突き詰めるのかしらん?と思いながら、Twitterを見てたらototoy(アルバムの配信を唯一行っている)で先行試聴と鳥居さん×スカート澤部さんとの対談との文字が。さっそく試聴をしたところ…「マジか!」って言葉が止まりませんでしたね。

アンサンブルがすごく練られていて、吉田(敬称略)という存在に全く負けていない。いや、むしろ勝っている。これまでは若干リリックと存在感が勝ってるなーって曲もあったんだけど、パーカッションのシマダボーイの力もあるのか…あと鍵盤の導入!これにも驚かされました。ギターソロが完全にいかれてたり、ベースが役割を見失うような曲があったり、ドラムの再現が死ぬほど難しい(らしい)曲があったり、なんか演歌チックだったり、吉田さんが普通に歌ってたり…いやはや面白い。ちなみにぼくが一番好きな曲は「じじいの同窓会」です。

いや、わたしが下手に語るより、前述の対談を読んでもらったり、鳥居さんのブログ、ベースの山本さんのブログ(特にバンドやってる人は面白く読めます)などを参考の上、聴いていただきたい。まーじで面白い。インタレスティング。(バンドに興味を持ったらドラムの大垣さんが出ているハリエンタルラジオも聴いてみよう!)

そして初回仕様は9曲入りのライブ音源CDがついてくる!!!買うっきゃないね!!!今すぐCDショップへGO!!!!!!!!!!!!!(この文章を書いている時点ではまだ在庫あるようですがなかったらあしからず…)

少なくとも言えることとして、もはやトリプルファイヤーは「高田馬場JOY DIVISION」や「だらしない54-71」と形容できるようなバンドでなくなったことは明らか。新しい形容詞は各自考えてください。

 (蛇足になりますが、音質は結構好みが分かれます。マスターをカセットテープに通したらしく、ホワイトノイズが結構あり、低音が強調されてます。ちゃっちいスピーカーで聴いたときは気にならなかったのですが、イヤホンで聴いたときは結構顕著に特徴が出ます。)

 

FIRE(初回限定2枚組)[WAVE-04]

FIRE(初回限定2枚組)[WAVE-04]

 

 

スカート『20/20』(2017/10/18)

ぼくが絶対的な信頼を置いているバンドのひとつ、スカート。まさかまさかのメジャーデビューですよ!!!だって、こないだカクバリズム入ったばかりじゃ…えーーー!!!って感じの出来事!

個人的には前作『CALL』が大名盤すぎて、一日に何度も聴く、旅行中に親の車で流す、カラオケで歌う、ギターのコード譜まで作るってくらいどハマりしたし、ついに札幌にライブまで来てくれて澤部さんにアナログ盤にサインまで頂いたし、シングル静かな夜がいいもこれまた大名曲が来た!って感じでもうこれ以上何を望む…って感じでのメジャーファーストアルバムですよ!(しかもこのご時世にCD only!)

で、これがまた、開けてていいアルバムなんです!

今までのスカートの曲の景色ってこう、内省的とまでは言わないかもしれないけど、内側にある世界を切り取った、箱庭的な曲が多いと思うんです。

けれども今作のリード曲は「視界良好」、アルバムタイトルの意味もアメリカ式の視力検査で「正常な視力」という意味だとか。展望感がある~!

ジャケも最高だし(前作に引き続き、アニメーション作家・漫画家の久野遥子さんによるもの)、もちろん曲も最高。リード曲「視界良好」「魔女」にはキリンジの弓木さんもコーラスで参加。ほんとこの人は才能あるなあ…「オータムリーヴス」では金剛地武志さんもベースで参加。(一昔前にエアギターでちょこっと世間に知られたけれど、この方がやっているyes, mama ok?も必聴。ナイスポップ!)

個人的に一番グッと来たのが10曲目の「魔女」。澤部さんが19歳の時に作った初期曲だとか。や、曲自体もいいんですけど、弦セクションがほんと泣きそうなぐらいよくて…あと歌詞も…19歳でこんな達観した詞を書けるなんて…ってくらいによくて…特に好きなのが「動物たちも ビルや森も 僕たちより うまくできているね」という詞。対比がすごい!

もうほんとパッケージから中身まで丁寧に作られていて、どこもほころびがないというか。トータル約35分。すっと聴けて、じんわりしつつも、後半のエモさ(あんまり合わない表現かもしれないけど)にぐっとくる。また聴きたくなる

澤部渡が、そしてスカートが、これからメジャーというフィールドでどんな展望を開いていくのか。これからも楽しみで仕方がない。

 

20/20(トゥエンティトゥエンティ)

20/20(トゥエンティトゥエンティ)

 

 

 

 いかがでしたか?今回のテーマとして「いかに文章を簡潔に書くか」というのがあったんですが、そんなものは無理だということがよくわかりました。もうどうしようもないですね。性格なんですかね。そして時間のなさがすごく出てきていますね。みんな、生活をしていこうな。生活を…

次の記事はいつ書くかもわかりません。もしかしたら書かないかもしれません。仕方ねェよ…それが俺って奴なんだ…(アウトトラック的な記事も書きたいなあ…)

とりあえず生きていくとは思うのでまたいつか。つかれたーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!